2012年08月27日

本質を考えない煽動"社"、産経新聞

 8/26/2012付の産経新聞、「新聞に喝!」というコラムで、またぞろ原発推進を煽動している。もういい加減にしろと言いたいが、これに対抗せず声を上げ続けないと、いつの間にか詐術に陥る人も増えてきてしまうので、黙るわけにはいかない。
 今回の論者は、津田和明氏という人らしいが、まず出だしで論理が破綻している。
以下に引用すると、
「…化石燃料は大気汚染物質の排出が避けられず、産出地が中東に集中していることも問題だ。」

 論者はこの一文だけで二つの過ちを犯している。
 まず、この人は化石燃料を野火の如く、ただぼやぼやと燃やして蒸気を作った後にはそのまま大気に排出しているとでも思っているのであろうか。いくら火力発電の詳細を知らなくとも、脱硫装置が備えられ、しかも日本の技術は世界一であることくらいは知っている。大気汚染防止法というものも存在している。違法な施設など存在しえない。それが一時期火力を多用することがあったとしてもである。
 では原発はどうだ。原発の廃棄物は放射性物質である。半減期に従って放射能が減衰するだけで、その半減期をコントロールする技術を人類は未だ手にしていない。将来的にもあまり期待できないだろう。その放射性物質の中には沸点が低いものも有る。大気汚染はないと言えるのか。緊急時ベント機構には、まだフィルターも装着されていない。それはさておいても(フィルターを付ければよいのだから)高レベル放射性物質はどのように処理するというのか。既に報道されているようにそれは破綻している。処理はできないのだ。原発を推進したいアメリカでさえ、永久埋設地が確保できないため、新規炉は見合わせの方向に動いている。ましてや国土が狭く、地震大国である日本に永久埋設地があろうはずがない。処理もできなければ埋設もできない、こういった厄介な物質を原発は生成しているのである。最終処分法が担保できないのであれば、これ以上廃棄物を出すというのは自殺行為であろう。こういった事実を国民は知りつつある。経済の問題では、既にない。これに津田和明氏はどう答えるのか。
 また、「産出地が中東に集中」云々とあるが、原料となるウランも日本では産出できないし、産出国も限られている。しかもその算出方法には多大な問題が指摘されている。他国のことなどお構いなしとでもいうのであろうか。いずれにせよ、これでは電力調達の弱点になることは、原油にしてもウランにしても同じことである。

 原発を代替する発電機構は確保しなければならない。これはその通りである。太陽光発電、風力発電、地熱発電などは、主要電力とはなかなかならないだろう。それも事実だと思う。もちろん輸入燃料に頼ることも、国家戦略上好ましくない。ではどうするか。まずは、日本海側のメタンハイドレートを早急に開発することだ。深海に存在する太平洋側とは異なり、浅部に存在することが分かっている日本海側では、既存の技術で対応が可能だろう。そのためには、まず国が電力確保の方針を原発から新エネルギーへ方向転換をしなければならない。今まで原発に使っていた予算を優先的に振り当てるのだ。現時点ではこれが一番有効ではないかと思う。その他の技術もあるが、まだ未知数であり、もう少し時間が掛かるだろう。これも進めなければならないが、アドホックとしてはメタンハイドレートで時間稼ぎ(埋蔵量によっては長期に利用できる)をすることだ。多量に電気を喰う、HI機器なども考え直す時がきたのだ。
 要は覚悟である。旨そうに見えていた饅頭が実は毒饅頭であったことを認めることだ。どんなに飢えていても子供にこんなものを与える親はいないだろう。

 原発が発電ばかりではなく、実はその裏として、プルトニウムの確保にあり、原発を維持するのは、原子力技術の保持、発展を狙っているという説もある。実際、原発に関しては、「国家安全保障に資する」と記述がある。だが、日本が大陸間弾道弾のような技術をもって、それを利用することが果たして現実的であろうか。慥かに強大な軍事を背景として脅しを掛けてくる国々に関しては忸怩たる思いもある。しかし核兵器を使った脅しが有効であるとは考え難い。万が一有効だったとしても、それを維持管理することは、膨大な経済的負担を強いられることになる。加えて、日本の原発は完全に標的にになるだろう(もちろん以前からそうだったのかもしれないが…)。その効果は、悔しいことに福島第一原発で実証されてしまった。それどころか、事故後もテロに充分な対策は取られていない。実際、福島第一原発の防御に必要な自衛隊が配備されているという報道は皆無である(あっても警備員程度しか機能しないだろう)。
これでも津田和明氏は、原発は経済的だと思っているのだろうか。

 津田和明氏の記述にはこんな表現もある。
「福島第1原発の事故で電力会社の引用は地に落ちた感がある、しかし感情論に走って電力会社たたきをしていると日本経済全体の危機を招きかねない。」
 もちろん、感情的な電力会社たたきは意味がない。しかし感情論ではないのだ。それは既に述べた通りだし、包括原価方式を採らせている法律にも問題があることも分かってきた。原発がなくなると、しきりに電気料が高くなると恫喝している津田和明氏だが、この方式を採っている以上電気料は安くはならない。全く競争原理が働かないからだ。競争原理が働かないとどうなるかは、元サントリー副社長である氏であれば、身に染みて分かるはずなのではないか。

 産経新聞は父の代から購読してきた新聞だが、この会社がまさか企業の論理に右顧左眄しているとは…。
残念なことだ。
posted by Serendipity at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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