2013年01月22日

TPPなど愚の骨頂〜その3〜

ご隠居はんと留はんの「量子力学」珍問答

LOTO6をはじめる前に読む本
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 アメリカ人は、BSE(牛海綿状脳症)なんて知らない。"What is it?"って逆に聞かれてしまう。獣医じゃないから当たり前だ。普通に"Mad Cow Disease"と言う。そう「狂牛病」そのまんまだ。日本もさっさと「狂牛病」に戻すべきだ。この方が病気の怖さがきちんと伝わる。
 つまり逆にそういった語感からくる印象を避けるためにBSEと言い換えたというわけだ。「『狂牛病』なんて使うな!非関税障壁だ!」という圧力が掛かったのだろう。自分たちは「狂牛病」って言うくせにね。
 それにしても、最初「狂牛病」がBSEに変わったことについてマスコミは疑問に思わなかったのか。与えられた情報を唯々諾々と垂れ流すマスコミ(特に新聞)に、一体ジャーナリスト魂があるのかどうか。

 日本では、アメリカからは月齢20ヶ月以下の牛肉のみ輸入できるようになっている。アメリカは輸出拡大のために月齢引き上げを目論み必死だ。でもそんなごり押しをしたって、日本の消費者は買いませんて。ただ問題は、消費者の目の届かないところに流れることだろう。これは避けようがない。肉そのものではなく、スープに使われたり、形がなくなったりしたら、もう判別は付かないからだ。TPPなんてもってのほかがここでも言えるだろう。
 月齢20ヶ月以下の牛肉しか許可しないという日本政府の方針に、「それじゃ、全頭検査しよう」という輸出業者がアメリカで旗を揚げた。この膠着状態を打破したかったのだ。ところが、あろうことか、米政府が輸出禁止処置を行ったのである。「抜け駆けは許さん」ということなのだろう。企業が努力して相手国の要望に応えようとすることが、「抜け駆け」なのか。商売するとき、相手の要望を無視して、売ることなどできないことは子供でも分かる。努力して質を上げようとした企業が、努力を怠り文句ばかりたれている企業の犠牲になるべきなのか。まるで劣等生の基準に優等生が合わせなければならないという、本末転倒、支離滅裂なことをしているではないか。
 ましてや、日頃から自由貿易を標榜している米政府が、自由貿易を否定するような行為に出るとは、矛盾も甚だしい。
 遺伝子組換え農産物(genetically modified organism,GMO)もそうである。TPPでは「遺伝子組換えではない」と表記をするな、と米政府は迫ってくる。売る側の都合を押しつけるとは傲慢な話で、何度も言うようだが、売りたいなら買い手側の要求を受け入れるのが基本だろう。米政府側は、「そういいながら輸入しないつもりだろう。非関税障壁だ!」とまたも同じ主張を繰り返す。事実は違う。輸入制限したいどころか拡大したいのだ。GMOがダメというだけだ。日本の商社マンたちは、なんとかGMOでない大豆を作って貰えるように全米を駆け巡っている。それでも嫌がる農家が多い。雑草取りなどの余計な手間は掛かるし、収穫量は少ない、というので渋い顔をするのだ。

 日本の工業製品がなぜ売れたのかを考えてみればよい。例えば、自動車。技術力の高さは置いておいても、客の要望に合わせ、それを次々に実現させてきたからだろう。それが商売ではないか。売る側が、「こんな良いものできたんだ。さっさと買え」と言ったって買うものではない。
 こういった主客転倒の要求を仕掛けてくるのがTPPだ。しかもラチェット条項(一度決めたら元には戻せない条項)、ISD条項があるから、一度許してしまえば決して元に戻ることはできない。
 TPPとはまさに「亡国の条約」なのだ。交渉にミスがあったとしても一度締結したら遡及できない。ミスさえ許さない条約がどんなに恐ろしいものであるか、これだけを考えただけでTPPを「亡国の条約」と言い切ってしまって良いくらいだ。
 TPPは農産物でばかりではないことに気づくべきだ。ざっくり言ってしまえば、「アメリカ政府の要求を呑め」という条約である。「交渉はできるだろう」というナイーヴ(注)な人もいるが、交渉以前の問題で、交渉の対象にすらならない条約なのである。よく「交渉しなければ、日本だけ取り残される」と危機を煽る輩がいるが、「TPPをやりたいのなら、どうぞおやり下さい」と言うのが正しい。日本があたふた騒ぐ問題ではない。実際、やろうと思えば日本と(そして、日本が)貿易できない国はない。関税にしても、単純平均で関税率は4.9%で、これはG20の中では12位と低い。農業だけに限って見てみると、21.0%で5位だから、こちらは少々高いかもしれないが、実は、ほとんどの農作物は関税が掛からないか低い。特定の農作物が関税率を上げているのだ(米は778%と高いのは分かるが、コンニャクイモが1,706%、えんどう豆が1,085%というのは、日本人でもちょっと不可思議ではあるのだが…)。
 関税は、輸出入の際にはどんな国でも必要だ。それは単純なことで「文化背景」が違うからである。これを破壊してまで商売などできない。商売したいのなら、交渉し、相手の要望に応える、というのが基本である。丁々発止やればよい。それは日本、アメリカを問わずに、だ。

(注)ナイーヴとはフランス語のnaïveである。日本では、「大人でありながら精神的な子供っぽさを良い意味に受け取る場合に用いる」(Wikipedia)とあるが、日本以外では、まず「良い」意味はなく、「馬鹿」の婉曲的表現である。もし、"You are so naive!"と言われたら、"Thank you."と言わないように。より一層馬鹿だと思われるだけだ。
posted by Serendipity at 14:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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